ブロッコリーを生で食べない理由を論破してみる


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ブロッコリーを生で食べると健康効果が高くなるという事が科学的に証明されている』という情報を耳にする事が多くなりました。

 

メンタリストDaiGoさんや鈴木祐さんが発信されている情報を私も耳にします。

 

私はブロッコリーは生でも茹でても美味しいと思うのですが、ブロッコリーを生で食べる事に抵抗感を覚える人は案外多いようです。

 

何となく抵抗がある、以外に色々な問題点を挙げる人も多いですね。

その方達の意見はどの程度正しいのでしょうか。

 

 

前提

まず、ブロッコリーを正しい洗い方でよく洗ってから食べるという事を前提としたいと思います。洗っていないブロッコリーは私も食べたくありません(笑)

 

多くの人が生のブロッコリーに抵抗感を持つのは、あの洗いにくい独特の形状が原因の一つかと思われます。

確かに、サッと流す程度では汚れが落ちない部分が多くなってしまっています。

以下が望ましい洗い方です。

 

大きめのボウルにたっぷりと水を張り、ブロッコリーのふさを下にして30分程浸け置きしておきます。虫出しはこれで大丈夫です。

(気になる人は流水で30分にすると更に安心)

30分たったら、何度か水を換えてすすぎます。もし目立つ汚れがあればキレイに擦り落として下さい。

 

こうして洗ったブロッコリーを清潔な調理器具で調理するのが大前提です。

 

ネット上でよくみる意見その1・虫が付いている

ブロッコリーアブラナ科の植物です。アブラナ科の植物を食べる害虫は大変に多いです。当然、出荷されたブロッコリーにも稀にですが虫がついていることがあります。具体的には、

 

アブラムシ、モンシロチョウの幼虫(アオムシ)、ヨトウガの幼虫(ヨトウムシ)

メイガやコナガ(蛾)の幼虫などです。

 

これに関しては、洗って下さい。ただそれだけです。

あやまって食べてしまっても人体に害はありません。しかし精神的ショックは大きいかもしれませんね(笑)。私も食べたくありません。よく洗いましょう。

 

ちなみに、アブラナ科の野菜は沢山あります。キャベツ、白菜、水菜、大根、カブ、小松菜、ルッコラ、などなど。

これらにもほぼ同じ害虫が付きます。

キク科のレタスにもなぜか同じような害虫が付きます。

 

ネット上でよく見る意見その2・農薬

アブラナ科の野菜は害虫に人気が高いです。

収穫量を安定させる為には当然、農薬も使われます。

 

しかし、農薬というのは基本的に人体に影響がないとされる量を、科学的に調査した上で使われるものです。

いたずらに 農薬=悪、怖い

と考えるのは間違っています。

 

尚、野菜は一般的に

葉物野菜>花物・茎物野菜>実野菜

の順に農薬の残留度が高くなるといわれています。ブロッコリーは花物野菜なので、残留度は中程度です。

あまり心配しすぎる必要はありません。

 

それでも気になるんだっ!という人は、無農薬栽培や減農薬栽培の野菜を選べば良いのではないでしょうか。

 

ネット上でよく見る意見その3・寄生虫

ブロッコリー寄生虫だらけという記事も目にします。つぼみの中に潜んでいるという意見も。しかし、それらの主張をしている人達が寄生虫のことをどれくらいご存知なのかは謎です。

 

まず、植物の根に寄生するネコブセンチュウなどの寄生虫は人体に寄生しません。人体に寄生するセンチュウ類は別の種類です。また、ブロッコリーはつぼみを食べる作物なのでそこに根に寄生する植物寄生性センチュウ類が寄生している事も考えにくいです。

 

心配すべきなのは人体に害をなす寄生虫を持った生き物ごとブロッコリーを食べてしまう場合と、人体に害をなす寄生虫の含まれた糞便に汚染されたブロッコリーを食べてしまった場合です。

 

まずは前者、人体に害をなす寄生虫を持った生き物ごと生野菜を食べてしまうケースです。具体的にはナメクジ、カタツムリ、カエル等を加熱せずに食べてしまうと広東住血線虫などの寄生虫を体内に入れてしまうリスクがあります。よく洗いましょう。

 

次に寄生虫の含まれた糞便で汚染された野菜を食べた事で体内に侵入してしまう寄生虫です。回虫やサナダムシ(条虫類)、などがよく知られています。

昔は下肥を肥料にしていたから生野菜を食べなかったんだ、なんて話を聞いた事があるかもしれません。

現在日本ではは下水道も整備され、下肥を肥料にする事もありませんので生野菜を食べるリスクは高くありません。水道水でよく洗いましょう。

 

お気づきでしょうか。

ブロッコリーだけではなく、生野菜全般におけるリスクの話になってきました。

 

ネット上でよく見る意見その4・土、土壌中の細菌

野菜は畑で育てます。畑には土があります。だから野菜には土がつくことがあります。

この当たり前のことが理解できない人も多いようです。

 

確かに土壌中には食中毒の原因となる菌が常に潜んでいます。

例を挙げると、セレウス菌ウェルシュ菌など。これらは土壌中、チリやホコリを含んだ空気中などに広く分布しています。

 

ただし、これらの菌が体内に入ると即、食中毒を起こすわけではありません。ここで考えなくてはならないのは「発症菌数」です。

 

食品を不適切な温度で長時間放置していると菌が増殖し、食中毒の発症菌数に達してしまいます。

調理した食品は速やかに冷蔵または温蔵保存し(8℃以下または55℃以上)、なるべく早く食べきりましょう。

 

また、大腸菌は菌数が少なくても発症しますが、生野菜や土壌から大腸菌が検出される事は本当にごく稀です。

水道水でしっかり洗浄すれば問題ありません。

 

だんだん教科書みたいになってきてしまいました。

お気づきでしょうか。

ブロッコリーだけではなく、食品全体のリスク管理の話になってしまっています。

 

ネット上でよく見る意見その5・ウイルス

ブロッコリーに付くアブラムシはキュウリモザイクウイルスやカブモザイクウイルスなどを媒介しますが、これらのウイルスは植物のみが感染するものであって、人間や動物は感染しません。

 

新型コロナウイルスに関しては、今の所食品を媒介として感染した例は報告されていません。

 

もはや、ブロッコリー、関係なくない!?

 

 

ネット上でよく見る意見その6・青臭い

好みは分かれるかもしれませんが、それは仕方ありません。それがブロッコリーという食材の持ち味なのですから。

私は香りの強い野菜が好きなので、青臭さはむしろ美味しく感じるポイントです。

どんな味がするのかというとケールのような味です。(青汁用ではなく、サラダ用の柔らかいケールです)

もしくは、キャベツをもう少し青臭くした感じ、

小松菜やほうれん草をサラダで食べた感じに近いかな。

 

もしも生のブロッコリーは「青臭くって、食べられない」と主張する人がいれば、

「それってあなたの感想ですよね〜!?」とひろゆきさん風に論破しましょう(笑)

 

まとめ

生のブロッコリーに抵抗感を持つ必要はありません。他の野菜同様、しっかり洗って、正しく調理・保存していただきましょう。

美味しく食べて、ブロッコリーの健康効果を手に入れましょう!

 

↓生ブロッコリーのサラダ
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↓茎も細かく刻めば生で食べられますが、今回は炒めものにしました。f:id:nyakomeshi:20210510102347j:image

 

 

参考文献/HP

新訂 食品衛生責任者ハンドブック 第3版
著者名:日本食品衛生協会

出版社:日本食品衛生協会

 

 

農林水産省 農薬の基礎知識 詳細

https://www.maff.go.jp/j/nouyaku/n_tisiki/tisiki.html

 

大幸薬品 健康情報局

https://www.seirogan.co.jp/fun/infection-control/virus/parasite.html

 

厚生労働省 新型コロナウイルス感染症について

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html

 

 

 

山帰来餅と柏餅の話


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柏餅のシーズンがやって来ましたね!

柏餅に使われているカシワという植物はブナ科の落葉広葉樹です。秋には大きなまん丸のどんぐりを実らせます。

ところで、京都市内出身の私は、カシワのどんぐりを拾った事は…無いのです。

照葉樹林帯が中心の西日本では、カシワの木はあまり自生していません。冷涼な高地に探しに行くか、植えられている公園や植物園などを探しに行くか。

 

当然、昔は柏餅はカシワの葉で包まれていなかったそうです。

西日本の多くの地域でその役割をはたしていたのは、「山帰来(さんきらい)」というつる植物の葉っぱでした。標準和名はサルトリイバラという植物です。


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この丸っこくてつやつやの葉っぱにお餅を包み、「山帰来餅(さんきらいもち)」を作って食べていたという話、今では山間部で暮らしているお年寄りの方から話を聞くことができる程度。

山帰来餅が関西の都市部で売られることはなく、柏餅が売られています。

私も柏餅で育った世代。山帰来餅は大人になるまで知りませんでした。

 

今でも西日本の道の駅や物産館などで売られていることがあります。出会えたら、食べてみてね!

 

 

ツタンカーメンのエンドウ豆


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爽やかな季節です。スーパーの店頭にもエンドウ豆がたくさん並んでいます。旬ですね。

ところで、「ツタンカーメンのエンドウ」をご存知の方も多いと思います。さやが紫色をしたエンドウ豆です。中の豆は普通の緑色ですが、豆ごはんにするとごはんがお赤飯のように赤紫になります。味は普通の緑のエンドウ豆と同じで、おいしいです。

しかし、「ツタンカーメンのエンドウ」と呼ばれるあの紫のエンドウ豆は、果たして本当にツタンカーメンの墓から出てきたものなのか、疑問に思った方も多いのではないでしょうか。

 

 

私とツタンカーメンのエンドウ

小学生の4年生だったか5年生だったか。◯年の科学という学研の雑誌を買ってもらっていました。毎月付録がついてくるのですが、その中の一つにツタンカーメンのエンドウ栽培キットがありました。

25年くらい?前の事なので記憶もおぼろげですが、ツタンカーメンのマスクの形をした青いプラスチック製の植木鉢と、土と、エンドウ豆の種がセットになっていたように思います。

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私はものぐさな子供だったので、届いてもすぐには植えず、植え付けの時期を大幅に遅れてしまいました。

結果、芽は出ませんでした。

しかし今思えば、すぐに植えていてもあのエンドウ豆が育つ事はなかっただろうと思います。

なぜなら、

イタズラ好きだった妹達は植木鉢をどこに置いてもひっくり返して中の豆をほじくり出すし、その時こぼれる土を赤ちゃんだった弟は口に入れてしまうし、

母親はジョウロから水が一滴でも床にこぼれると金切声をあげるし、

早々に嫌になってしまったに決まっています。誌面に何が書いてあったかはすっかり忘れてしまいました。あ~ぁ…。

ところで先日、農産物直売所でツタンカーメンのエンドウを見かけました。小学生時代の記憶と共に、疑問がふつふつと湧いてきます。

あの美しき少年王ツタンカーメンは、紫色のエンドウ豆を食していたのか…。

 

ツタンカーメンのエンドウの真実と歴史

2019年5月22日のニューズウィークに記載された中東研究家の保坂修司さんのコラムが、ツタンカーメンのエンドウの謎を解き明かしてくれていました。

このブログの最後にリンクを貼り付けておくので詳しく知りたい方はそちらを読んで頂ければ、と思いますので、

ここではその内容を時系列に沿って簡単にまとめるだけにしておきます。

  • 1838年 英国のエジプト研究家ジョン・ウィルキンソン古代エジプトの遺跡から壺に入ったエンドウ豆を発見、英国の園芸家ウィリアム・グリムストーンに豆をゆずった。(ただし、科学的根拠のある資料は見つかっていないとされる)
  • 19世紀後半 グリムストーンが「ミイラのエンドウ」を商品として売り出す。数年の後にブームは終了し、「ミイラのエンドウ」は忘れられた存在となる。
  • 1922年  ツタンカーメンの墓が発見される
  • 1930年代 英国・米国の園芸家の間で「ツタンカーメンのエンドウ」が登場。(ここでも科学的根拠のある資料は見つかっていないとされる)
  • 1956年 米国の園芸家から水戸市の小学校に「ツタンカーメンのエンドウ」が寄贈される
  • 1957年 水戸市の小学校のエンドウ豆が読売新聞に取り上げられる
  • 1986年 学研がバイオ技術を用いて水戸市の小学校で育てられたエンドウから150万粒の種を製造。以後『5年の科学』の付録として「ツタンカーメンのエンドウ」を全国へ知らしめる

以上が時系列にそった流れです。

ツタンカーメンの王墓発見より前に英国では「ミイラのエンドウ(mummy's pea)」が存在していた事、科学的根拠のある資料に乏しい事、そして英米の園芸家達のビジネスが深く関わっていた事が伺い知れます。

そして1986年以降、長年にわたり学研は全国の子供達に「ツタンカーメンのエンドウ」の種子と、古代のロマンと嘘をばらまき続けお届けし続けました。

私もそれを受け取った中の一人だった、というわけです。

もちろん科学や歴史は新たな発見がなされればそれまでの定説が覆る事もありますから、ツタンカーメンのエンドウに関わる資料が今後発見されないとも限りませんが‥‥。

 

 

5年の科学とツタンカーメンのエンドウ

さて、「◯年の科学/学習」など学研のホームページから付録の一部を写真で見る事が出来ました。ピラミッド型の植木鉢からエンドウ豆の芽が出てきた写真が掲載されていました。

残念ながら私の記憶にあった、青いプラスチック製ツタンカーメンのマスク形の植木鉢ではありませんでした。

私が付録を受け取った頃から10年くらい後の商品です。その間に商品の企画が変わったのか、私の記憶が間違っているのかは分からずじまいです。もし同じような記憶や、当時の写真や記録などお持ちの方がいらっしゃいましたら、教えて頂けると大変嬉しく思います。

何年に発行されたものか調べかねているのですが、5年の科学の誌面にはツタンカーメンのエンドウの由来に付いて以下のような一文が掲載されていたようです。

ツタンカーメンの紫エンドウはアメリカからやって来た!!

ツタンカーメンの紫エンドウは王墓の発掘者のハワード・カーターが見つけて持ち帰ったと言われています。ロンドンのギルバード夫人がゆずり受け、夫人の庭師が植えて次の世代の種をとることに成功し、各地に広がりました。教材の紫エンドウは、アメリカに送ったサクラとイチョウの木のお礼に、日本の小学校に送られてきた種から、ふやしたものです。

 

 

古代エジプトと発掘された豆

エンドウ豆ではありませんが、古代エジプトの遺構から豆が発見された事は実際にあるようです。

  • ソラマメが第五王朝サフラー王の神殿の墓地から発見される
  • ソラマメが第十二王朝期のドウラ・アブ・ナガの墓から発見される
  • ヒヨコマメが紀元前1400年頃の墓から発見される
  • レンズマメが先王朝時代の墓から発見される
  • レンズマメが第三王朝ジョゼル王のピラミッドの地下室の中から発見される
  • レンズマメが新王国時代の墓から発見される

など。

豆の実物が発見された事例以外にも、豆に関する多くの記録や資料が残されており、古代エジプト人にとって豆類が大変身近な食材だった事が分かります

エンドウ豆も古代エジプトでも食べられていた事は確認されているようです。

 

以上は日本におけるエジプト研究の第一人者、吉村作治氏の著書から得た情報でした。お味噌のCMでおなじみの方ですね。余談ですが私は幼い頃、吉村作治堀内孝雄の区別がついていませんでした(笑)

 

 

まとめ

以上の事から、

  • ツタンカーメンのエンドウは英国・米国の園芸家達が作り上げた嘘
  • 学研は日本全国の子供達に「ツタンカーメンのエンドウ」という名で紫エンドウの種子を配布した
  • ツタンカーメンの墓からエンドウが発見されたという歴史的資料、それが発芽したという科学的資料は無い
  • だけど古代エジプトの王の墓から豆が発見される事はある。
  • 古代エジプトでもエンドウ豆は食べられていた

という事がわかります。

紫エンドウに関するツタンカーメンの伝説は残念ながら根拠の無い嘘のようですが、

美しき少年王ツタンカーメンも、エンドウ豆を食べていたかもしれません。

 

 

参考文献/参考HP

ニューズウィーク

https://www.newsweekjapan.jp/amp/hosaka/2019/05/post-29.php?page=4

 

学研科学のふろくギャラリー

https://www.gakken.co.jp/sp/campaign/70th/furoku/index_2009.html

 

ファラオの食卓ー古代エジプト食物語

吉村作治 講談社 1968年

熊楠とニラの味噌汁の話

スーパーでニラが半額だったので、朝の賄いはご飯と納豆とニラの味噌汁。

(朝、といっても居酒屋稼業は生活が夜型にずれるので、10時半頃が朝ご飯です)


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今のご時世、マスク着用が基本なので、ニオイを気にせず朝からニラでスタミナつける事ができるゼ。

 

博物学者の南方熊楠は根を詰めて仕事をする時はいつも、奥さんにニラの味噌汁を作っておいてくれ、と言ったそうです。

仕事の合間に台所へ行ってニラの味噌汁をすすり、また仕事に熱中していた。

熊楠の娘さんがこう語っていた記事が載っていた本はコレだったと思います。

 

クマグスの森―南方熊楠の見た宇宙 (とんぼの本)

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  • 発売日: 2007/11/01
  • メディア: 単行本
 

 

 

知の巨人、南方熊楠の破天荒なエピソードはここに書ききれないのでまた改めて書きたいと思っているのだけど、とにかく体力がすごい、という印象があるな。

 

最近忙しめでちょっと体力キツいけど、熊楠にあやかってニラの味噌汁で乗り切りたいものです。

 

節分なのでカナガシラの話

節分に食べる魚といえばイワシですね。

私の住んでいる地域でもイワシを食べます。

しかし長崎県では節分に食べる魚といえば、カナガシラなのだそうです。

このカナガシラという魚、知名度が今ひとつのようですが、地域によっては縁起物として用いられる魚です。

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節分

長崎県では節分に食べる魚といえば、カナガシラ。ご当地ニュースもカナガシラで賑わっています。

毎日新聞

https://mainichi.jp/articles/20170201/ddp/041/040/036000c

長崎新聞

https://this.kiji.is/727711857730617344?c=39546741839462401

カナガシラ(金頭)という名前から金運がつく縁起物だから節分に食べている、という説をチラホラ見かけます。名前から験を担ぐという考え方も日本人らしくて面白いと思います。

しかし、標準和名がカナガシラに定まる以前から長崎県では節分にこの魚を食べる風習はあったのではないかという疑問も残ります。

カナガシラの長崎県での地方名は「ガッツ」といいます。ではガッツがつくのでしょうか?(これは冗談です)

 

節分のカナガシラは食べれば邪気を祓う魚と言われています。(上にリンクを貼った長崎新聞の記事では邪気を祓う説と金運説の両方に言及しています。)

日本をはじめ、アジアのいくつかの国では赤い色は古来より邪気を祓う色とされてきた歴史があります。カナガシラの真っ赤な体色が邪気を祓い、縁起が良いとされてきた説の方が歴史が古いようにも思われます。

 

お食い初め

お食い初めの魚といえば、鯛です。関西では蛸を使う事も多いです。他に鯉や蛤など。

カナガシラを使う地域もあります。

皇室のお食い初めにあたる「箸初めの儀」ではカナガシラが使われます。2007 年1月13日の朝日新聞によれば悠仁親王の箸初めの儀でもカナガシラが使われたと報道されています。

カナガシラは頭がとても硬い魚なので、歯固めの石と同じ役割で、丈夫な歯が生えますようにという願いを込めて用いられます。

又、赤ちゃんのまだ柔らかい頭が、カナガシラのようにしっかり固まりますように、という意味合いの事もあります。

 

大塩平八郎

さて、とっても硬い頭をもつカナガシラ。ヘルメットのような頭骨が硬い上に、エラブタや目の上にトゲまでついています。

ところが、大塩平八郎はカナガシラの頭を「ワリワリ」と噛み砕いてしまったという記録が残っています。

飢饉に苦しむ庶民に対して何もしない幕府への怒りを、おかずに出てきたカナガシラの頭にぶつけたのだそうです。

恥ずかしながら大塩平八郎の事をあまり知らなかったので調べ直しました。なかなか性格の激しい人だったのですね。火薬を爆発させて派手な最後を遂げてるし…(笑)

 

生態

カナガシラの見た目でまず、目を引くのは脚(指?)があることでしょう。海底を這い回るのに便利なように胸鰭の一部が変化したものです。脚を使って、ゴソゴソと這い回る姿はユーモラスでとても可愛いです。

この脚の先は感覚器になっており、味覚を感知します。海底の砂の中の甲殻類を見つけて食べるのに役立っています。

近縁種のホウボウも同じく脚のようなヒレを持っています。

ホウボウとカナガシラの見分けポイントは胸鰭の色です。ホウボウは胸鰭を広げると目が覚めるような青い色をしています。それに対して、カナガシラのヒレは体色と同じ、赤みがかったオレンジ色です。

どちらも根魚特有の旨味があって、本当に美味しいお魚です。

 

参考HP

毎日新聞

https://mainichi.jp/articles/20170201/ddp/041/040/036000c

長崎新聞

https://this.kiji.is/727711857730617344?c=39546741839462401

仕出し割烹 しげよし

https://www.shige44.jp/fs/shigeyoshi/c/okuizome_ritual

幸田成友大塩平八郎」86


Kc¬Fu彪Yv86

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑

https://www.zukan-bouz.com/syu/%E3%82%AB%E3%83%8A%E3%82%AC%E3%82%B7%E3%83%A9

 

 

 

 

マトウダイと聖ペテロの話


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大きな口に長くたなびく背ビレ。全身をぐるり取り囲むようにとげが囲み、その真ん中に目を引く黒い紋様。絶大なインパクトのある御姿の魚、マトウダイ


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漢字では「馬頭鯛」と書きます。この魚の口は摂餌の際に大きく前方に伸びます。その顔が馬のようだから、という理由で名付けられたようです。「的鯛(マトダイ)」と呼ばれる事も多く、これは体の模様が的に見えるから、という理由です。こちらの方が分かりやすいですね。


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さて、このマトウダイ、日本ではあまり一般的ではない魚だけれども、フレンチやイタリアンでは高級食材として重宝されている魚です。フランス語での名前を「saint-pierre(サン・ピエール)」、イタリア語での名前を「Pesce san pietro(サン・ピエトロ)」といいます。いずれもキリスト教の聖人ペテロを指す名前です。


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マトウダイの側面の模様は、聖人ペテロがこの魚を持った時の指の跡が残ったもの、と言われています。聖書に出てくるエピソードはこのようなものです。

 

マタイによる福音書17章27節
に行って釣りをしなさい。最初に釣れた魚を取って口を開けると、銀貨が一枚見つかるはずだ。それを取って、あなたと私の分として納めなさい。
(新共同訳)

 

「湖」とあるのは、翻訳によっては「海」とされている事もあるようですが、いずれにせよガリラヤ湖(ティベリアス湖)であるとされています。

ガリラヤ湖は淡水の湖です。


マトウダイ海水魚

 

実は、この湖にはセント・ピーターズ・フイッシュと呼ばれるティラピアの仲間が生息しており、聖書の魚はこちらの魚であるとされています。

どうやらマトウダイの方は、後の時代の人々が側面の模様と聖書のエピソードを結びつけて名付けたもののようです。

 

 

以上のエピソードはネット上で書かれたものを目にする機会はあったのですが、元となる情報がわからずにいました。

英語版ウィキペディアによると、この本の中で言及されている内容なのだとか。

英語なので私は読めません、すみません。

 

Fish Behavior in the Aquarium and in the Wild (Comstock Books)

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  • 作者:Reebs, Stephan
  • 発売日: 2001/10/01
  • メディア: ペーパーバック
 

表紙かわいい…

 

参考文献

新約聖書 新共同訳

 

参考HP

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑

https://www.zukan-bouz.com/syu/%E3%83%9E%E3%83%88%E3%82%A6%E3%83%80%E3%82%A4

英語版ウィキペディア

https://en.m.wikipedia.org/wiki/John_Dory

 

 

 

 

冬至の日の雑談

「かぼちゃよかぼちゃ、かぼちゃさん。馬車になって私を素敵な王子様の所へ連れて行っておくれ」

プリンセスは言いました。

するとかぼちゃは答えました。

「無理。」

プリンセスは髪を振り乱し、斧を掴むとかぼちゃ目がけて振り下ろしました。

あわれなかぼちゃは真っ二つ。

プリンセスはそのままかぼちゃを一口サイズに切り刻み、出汁と砂糖みりん醤油で味付けし、一切れ残らず食べてしまいましたとさ。

 

今日は冬至です。

嬉しすぎて、謎の昔話を捏造してしまいました。こんな話、どこにも伝わっておりません。


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私は冬至が大好きでして、個人的にはクリスマスよりもおめでたいと感じているくらいです。

 

これまで日を追うごとに短くなっていった日照時間が、今日を折り返し地点に少しずつ長くなっていきます。

現在の暦の上では節目でもなく、何だか中途半端な日付けだし、祝日でもありません。

ですが、大自然の感覚でいえば一年の始まり(もしくは終わりかその両方)だと思うのです。

 

古代世界では太陽を神として、大いなる自然の力を敬う信仰が多くありました。当然、夏至冬至は重要な日となったはずです。

いろいろな儀式や風習があった事でしょう。

それに伴う特別な食べ物や飲み物もあった事でしょう。

そのいくつかは歴史に埋もれて姿を消し、またそのいくつかは姿を変えつつ現在にも伝わっているはずです。

 

そういった事をいろいろ調べていきたいと思いつつ、まだ調べていません。

 

今日はとりあえず、現在日本では定番となっている風習にしたがって、かぼちゃを食べて柚子湯に浸かります。


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