節分に食べる魚といえばイワシですね。
私の住んでいる地域でもイワシを食べます。
しかし長崎県では節分に食べる魚といえば、カナガシラなのだそうです。
このカナガシラという魚、知名度が今ひとつのようですが、地域によっては縁起物として用いられる魚です。
節分
長崎県では節分に食べる魚といえば、カナガシラ。ご当地ニュースもカナガシラで賑わっています。
https://mainichi.jp/articles/20170201/ddp/041/040/036000c
https://this.kiji.is/727711857730617344?c=39546741839462401
カナガシラ(金頭)という名前から金運がつく縁起物だから節分に食べている、という説をチラホラ見かけます。名前から験を担ぐという考え方も日本人らしくて面白いと思います。
しかし、標準和名がカナガシラに定まる以前から長崎県では節分にこの魚を食べる風習はあったのではないかという疑問も残ります。
カナガシラの長崎県での地方名は「ガッツ」といいます。ではガッツがつくのでしょうか?(これは冗談です)
節分のカナガシラは食べれば邪気を祓う魚と言われています。(上にリンクを貼った長崎新聞の記事では邪気を祓う説と金運説の両方に言及しています。)
日本をはじめ、アジアのいくつかの国では赤い色は古来より邪気を祓う色とされてきた歴史があります。カナガシラの真っ赤な体色が邪気を祓い、縁起が良いとされてきた説の方が歴史が古いようにも思われます。
お食い初め
お食い初めの魚といえば、鯛です。関西では蛸を使う事も多いです。他に鯉や蛤など。
カナガシラを使う地域もあります。
皇室のお食い初めにあたる「箸初めの儀」ではカナガシラが使われます。2007 年1月13日の朝日新聞によれば悠仁親王の箸初めの儀でもカナガシラが使われたと報道されています。
カナガシラは頭がとても硬い魚なので、歯固めの石と同じ役割で、丈夫な歯が生えますようにという願いを込めて用いられます。
又、赤ちゃんのまだ柔らかい頭が、カナガシラのようにしっかり固まりますように、という意味合いの事もあります。
大塩平八郎
さて、とっても硬い頭をもつカナガシラ。ヘルメットのような頭骨が硬い上に、エラブタや目の上にトゲまでついています。
ところが、大塩平八郎はカナガシラの頭を「ワリワリ」と噛み砕いてしまったという記録が残っています。
飢饉に苦しむ庶民に対して何もしない幕府への怒りを、おかずに出てきたカナガシラの頭にぶつけたのだそうです。
恥ずかしながら大塩平八郎の事をあまり知らなかったので調べ直しました。なかなか性格の激しい人だったのですね。火薬を爆発させて派手な最後を遂げてるし…(笑)
生態
カナガシラの見た目でまず、目を引くのは脚(指?)があることでしょう。海底を這い回るのに便利なように胸鰭の一部が変化したものです。脚を使って、ゴソゴソと這い回る姿はユーモラスでとても可愛いです。
この脚の先は感覚器になっており、味覚を感知します。海底の砂の中の甲殻類を見つけて食べるのに役立っています。
近縁種のホウボウも同じく脚のようなヒレを持っています。
ホウボウとカナガシラの見分けポイントは胸鰭の色です。ホウボウは胸鰭を広げると目が覚めるような青い色をしています。それに対して、カナガシラのヒレは体色と同じ、赤みがかったオレンジ色です。
どちらも根魚特有の旨味があって、本当に美味しいお魚です。
参考HP
https://mainichi.jp/articles/20170201/ddp/041/040/036000c
https://this.kiji.is/727711857730617344?c=39546741839462401
仕出し割烹 しげよし
https://www.shige44.jp/fs/shigeyoshi/c/okuizome_ritual
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑
https://www.zukan-bouz.com/syu/%E3%82%AB%E3%83%8A%E3%82%AC%E3%82%B7%E3%83%A9