にゃこめしの食材博物記

YouTubeチャンネル「古代ローマ食堂へようこそ」の中の人のブログ。古代ローマの食文化についての記事を中心に、様々な歴史や食文化について調べて書いているブログです。

トンガの火山爆発と、日本の食卓に及ぼす影響を考えてみる

南太平洋のトンガ諸島にある海底火山「フンガ・トンガ」で1月15日1時ごろ、大規模な爆発が起こりました。恥ずかしながら私は最初、ニュースを見ても事の重大さがあまりピンと来ていませんでした。トンガの方々の事はもちろん気になるし、気の毒に思いましたが、情報が少なかったこともあり、なんとなく過ごしていました。

その夜、津波警報や注意報が日本の各地に出され、大変驚きました。沿岸部にお住まいの方や、避難された方、一晩中、眠れぬ夜を過ごされた方も多かった事と思います。無知な私にも事の重大さがジワジワとわかってきました。

そこで今日いろいろ調べて私なりに考えたことなどを、このブログのテーマである食材の事と関連付けて書いてみたいと思います。

なお、私は火山や気象や、世の中の動きなどは全くの専門外の素人です。むしろ常識的な知識が欠けているところも多い人間です。この記事に書いてある内容も「正しい知識」ではなく、「素人の考えた事」です。内容についてはご容赦下さい。正しい知識は、信頼性の高い情報を調べて判断くださいますようお願いいたします。

 

 

火山爆発指数について

地震の大きさを示す指標としてマグニチュードがあるように、火山の大きさを示す指標は火山爆発指数(VEI)というそうです。

火山爆発指数1は小規模、2は中規模、3はやや大規模、4は大規模、5~8は非常に大規模

・・・イメージしにくいですね。数字が1つ上がるごとに、噴火の規模は10倍になるそうです。1991年の雲仙普賢岳の噴火はVEI2、2014年の御岳山の噴火はVEI3だったそうです。江戸時代に富士山が大噴火したときはVEI5だったそうです。

西暦79年古代ローマの都市、ポンペイを一瞬で火山灰の下に埋もれさせたヴェスヴィオ火山の噴火もVEI5、そして、1991年のフィリピンのピナトゥボ火山の噴火はVEI6だったそうです。

そして、フンガ・トンガ火山の噴火はまだあまり信用できる情報がないものの、VEI5~6といわれています。

噴火の規模の大きさがうかがい知れます。

すぐに出そうな影響

太平洋側を中心に、日本各地で津波の警報・注意報が発令されました。まず予想されることは、漁師さん達がその晩(明朝)は漁に出られなかったことです。明日(1月17日)は近海物の魚介類がほとんど魚市場に入荷しないのではないかと思います。わずかに入荷した魚はきっと高値で取引されることでしょう。スーパーの鮮魚コーナーは冷凍物と養殖物が中心になるかもしれません。

とはいえ、普段から天候が悪い時はこのような状況になることも珍しくありません。

これは大した影響ではなさそうですね。

少し後に出そうな影響

南太平洋はキハダマグロメバチマグロの漁場です。もしかしたら一時、輸入がストップしてしまうかもしれません。

他に、オーストラリアやニュージーランド~日本間の航空便や船便なども影響があるかもしれません。

また、火山灰を含んだ雨は酸性雨になるそうです。日本に直接降ることはあまり考えれませんが、オーストラリアやニュージーランドや、南太平洋周辺諸国の農作物がダメージを受ける可能性も否定できません。

半年から一年ぐらい続くかもしれない影響

大規模な噴火により火山灰などが成層圏に大量に放出されると、太陽光が地表に届くのを遮ってしまいます。その結果、気温が寒冷化すると言われています。体感としてはわずかの気温の変化も、農作物に大きな被害をもたらします。

記憶に新しいのは1991年のピナトゥボ火山の噴火です。その時噴き上がった火山灰により、地球全体の気温が約0.5度下がりました。結果、記録的な冷夏となり、日本の稲作は大ダメージを受けました。輸入されたタイ米が食卓に上ったことを覚えている方も多いのではないでしょうか。(若い世代はわからないかな?)

既に、twitterに投稿された「平成の米騒動」を引き合いに出すような投稿が、猛烈にリツイートされまくっているようです。そのことをニュースも取り上げております。

気温の寒冷化が及ぼす影響はもちろん日本のお米だけではありません。

北半球はいま真冬ですが、南半球は今が夏です。

今、この時期に日照時間が短くなったり気温が下がったりすれば、オーストラリアやニュージーランド、場合によっては南米諸国の農業がダメージを受けるかもしれません。

(ちなみに1991年のピナトゥボ火山の噴火は6月7日、北半球はその年の夏が冷夏になりました。)

世界的に大きな影響がある作物は、小麦やトウモロコシなどでしょう。

穀物が不足し、価格が高沸する可能性もありそうです。

穀物を食べるのは人間だけではありません。家畜の飼料として南半球で生産される穀物の存在は大きいです。飼料が値上がりすれば、牛肉、豚肉、鶏肉、卵も値上がりが避けられません。

 

数か月後にはお肉や卵が値上がりして、家計を圧迫してしまうかもしれません。

しかし、日本の小売り産業や外食産業はインフレが起ころうと何が起ころうと全然値上げをしない傾向があるようにも思えます。その場合、小売り産業や外食産業は出血大サービス垂れ流し状態になってしまうのでは・・・結果、日本経済がジワジワと死んでいく・・・なんてのは、少々考えすぎでしょうか。

 

フンガ・トンガ火山の噴火による影響がどの程度でるのかはまだ、はっきりとした情報はわかりません。マスコミは正しい情報や専門家の見解は伝えてほしいですが、今後無駄に不安を煽るような報道になってしまいそうで心配です。

買占めや転売など、情報に踊らされた人々が混乱を引き起こさないか心配です。

 

参考文献/参考HP

候文明史 世界を変えた8万年の攻防
田家 康 日経ビジネス人文庫

気象庁HPより 有史以降の火山活動についてhttps://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/tokyo/history_kaisetsu.html

朝日新聞デジタルより
火山爆発指数5~6の規模か ピナトゥボが6、「破局噴火」は7以上https://www.asahi.com/sp/articles/ASQ1J6399Q1JULBJ004.html

朝日新聞デジタルより
トンガ噴火で気候変動に懸念 SNSで「令和の米騒動」不安視する声https://mainichi.jp/articles/20220116/k00/00m/040/108000c