どうも、にゃこめしです。
前回の記事では古代ローマのレシピ集であるアピキウスの料理書の構成と大まかな内容を紹介いたしました。
今回は、アピキウスの料理書のなかでも珍しい食材や驚くべきメニューにスポットを当ててご紹介したいと思います。
なお、最初に説明しておきたいのですが、このアピキウスの『料理書』は珍しくて高級な食材を追い求めた貴族達の、饗宴のための料理の記録です。
ローマの庶民の食文化とはかけ離れた部分があることを忘れてはなりません。
それでは、驚くべき食材達を紹介していきたいと思います。
まず、脳です。
美食家達は脳(おそらくはブタの脳)のコクのある濃厚な味を好んだらしく、料理書のあちこちに脳を使うレシピがあるのです。エンドウ豆と煮たり牛乳で煮たり、詰め物に使ったり…まるでありふれた食材であるかのようにつかわれています。
次は小鳥です。この料理書では肉の部分をほぐして煮物や玉子料理に使われています。小鳥の種類はツグミ、ヒタキ、ズアオアトリ、ズアオホオジロなどです。
ちなみにこれらの小鳥類はごく近年までフランスでは高級珍味として食べる文化が残っていましたが、今は保護のため捕獲が禁止されています。但し、密猟は絶えないようです。ポンペイの壁画の一部
それから、球根。この球根はタマネギやニンニクではなく、ハネムスカリという植物の球根だとされています。イタリア語ではランパショーニといい、今でも南イタリアの一部やギリシャの一部では春の味覚として親しまれている山菜です。ゆり根のようなホクホクした食感で、鮮烈な苦味が特徴なのだそうです。
画像WikipediaCommonsより
カタツムリを使ったレシピもあります。現在でもエスカルゴは定番の食材なので、これはあまり驚かないかもしれませんね。古代ローマではカタツムリを乳や麦粉のお粥で飼育して太らせてから食べていました。
古代ローマ人がヤマネも肥育して食材にしていたことは有名な話ですね。ヤマネはグリラリウムという、中が螺旋状になった壺で肥育していました。このアピキウスの『料理書』にもヤマネの料理が書かれています。
そして、オウムやフラミンゴです。
『料理書』に書かれているフラミンゴ料理はこうです。
フラミンゴの皮を剥ぎ、洗って形を整え、水、塩、ディル、少量の酢を入れた大鍋で煮込みます。仕上げに葡萄酒を加えて色よく煮上がったらお皿に盛り、煮汁とハーブやスパイスで作ったソースをかけて提供します。オウムの場合も同様です。
この記述通りだと、おそらくフラミンゴは姿のまま食卓に供せられたものと思われます。お披露目の後、その場で給仕役の奴隷が切り分けたのかもしれません。
さて、驚くべき食材や料理の話をしてきましたが、誤解がないよう、庶民の普通の食生活とはかけ離れたものであった事をもう一度強調しておきたいと思います。
これらは豪華な饗宴で美食家達が驚きに満ちた演出をすべく、工夫を凝らして築き上げた料理の記録なのです。
ここまでの話を聞いて、あなたは食べてみたいと思うタイプですか?それとも、あまり食欲がわかないタイプですか?
私は断然、食べてみたいと思うタイプです(笑)