あなたは古代ローマの饗宴に招待されたらどうしますか?
古代ローマ人にとって饗宴とは人脈を拡げたり、維持する為の大切な社交の場でした。
有力者と良好な人間関係を築ければ、良い仕事を回してもらえたり、仕事の話をスムーズに進める事も出来たでしょう。
また、金銭的な援助を受けたり、有力者の権力をバックグラウンドにつけることも出来るかもしれません。
しかし、饗宴の場ではどのように振る舞えばよいのでしょうか?
数回に渡って解説していきたいと思います。
男性
古代ローマの饗宴では長衣(トガ)といわれる衣服で正装して出席しなくてはいけませんでした。長衣(トガ)とは、白くて大きな布を身体に巻きつけ、たくさんのヒダをつけた衣服です。
時代により用いられる布の大きさや形は異なりますが、大きなものだと直径5mの半円形の布を身体に巻き付けたといわれています。
もちろん、一人で着ることはできませんから、着付けをするのは奴隷たちの役割でした。
高価な物だった為、トガを持っていない庶民が饗宴の招待を受けた場合、招待主から借りることもできたそうです。
また、すべてのローマ人が毎日饗宴に出席していたわけではありません。
友人同士で気さくな夕食会を楽しむ日もあれば、家で質素な夕食をとることもありました。
友人同士など気さくな夕食会の場合、正式なトガではなく、略式のトガを着て出席する事が多かったようです。ローマ人はこれらの衣服を晩餐衣(ウェスティス・ケナトリア)や食堂衣(ウェスティス・トリクリナリア)、饗宴衣(ウェスティス・コンウィウァリス)などと呼んでいたそうです。これらは堅苦しい正装のトガに比べて、少しカジュアルで洒落たイメージでした。
また、普段着や下着にあたるトゥニカという衣服もありました。家で夕食をとる時はもちろん服装に気を遣う必要はありませんから、トゥニカを着て食事をしていたと思われます。
女性
また饗宴の席に招待主や招待客の妻などの女性が同席する事もありました。
古い時代には女性は饗宴の席に姿を見せるべきではないとされましたが、時代が進むにつれて女性も同じく席に着き、食事をしたりお酒を飲んだりするようになりました。
しかし、未婚の女性が一人で出席するような事は基本的にありません。
ごく稀にお色気の要素を含んだ接待の場などで役者や踊り子の女性を伴った饗宴もありました。しかし当時の役者や踊り子はあまり上品でない職業だとされておりました。
古代ローマの男性がトガを着ていたことに対し、女性はそれに相当するストラ(又はパルラ)という衣服がありました。布を身体に巻き付けて複雑なヒダを付けたものです。これは上流階級の女性のための服装でした。
他にはキトンと呼ばれる一枚布をワンピースのような形に留めて着るギリシア風の服装などがあります。
古代ローマの女性は髪型へのこだわりも強く、セットには相当な時間をかけました。
髪にコテを当てて強くパーマをかけ、ボリュームを出した髪型が流行っていたことが、彫刻などから伺えます。
また、貞淑さを表すためのベールをかぶることも上品で良いこととされたようです。