今回は古代ローマの饗宴のメニュー構成はどのようなものだったのか、
気になる料理はどんなものだったのか紹介していきたいと思います。
饗宴が始まるとまずは食前酒を全員で回し飲みします。
食前酒は水で薄めたワインにニガヨモギヤ薔薇で香りをつけたものや、蜂蜜で入りのワインが飲まれました。胃腸の健康を促進し、食欲を増す効果があると思われていたようです。回し飲みにするのは来客達に一体感を持たせる意味がありました。
さぁ、料理の登場です。
古代ローマの饗宴の料理は前菜、主菜、デザートの三部で構成されており、それぞれ数品ずつ用意されるのが普通でした。
- グスターティオ(前菜)
- メンサ・プリマ(主菜)
- メンサ・セクンダ(デザート、食後酒)
まずは前菜です。
前菜で欠かせないものは卵です。
古代ローマには「卵からリンゴまで」という言いまわしがあります。これは初めから終わりまでという意味です。この言葉が表すとおり、古代ローマの饗宴の前菜には卵が好んで食べられていました。
シンプルなゆで玉子や半熟卵で食べることが多かったようですが、パティナという平皿で焼き上げたオムレツのような料理もありました。
他に前菜によく食べられていたものはレタスなど新鮮な野菜を使ったサラダ、オリーブやチーズ、カタツムリなどです。
小さな肉料理がでることもありました。ハムやソーセージ、
変わったものではヤマネ料理などが提供されました。
続いては主菜が数品、メインディッシュにあたる料理です。
質素でささやかな宴会の場合はお粥や豆のスープ、野菜料理などが主菜となることもありましたが、豪華な宴会の場合はやはり主役は肉と魚です。
中でも豚肉や家禽の料理が定番でした。これらは丸焼きのような大きい状態でテーブルに運ばれ、切り分け係の奴隷によって食べやすいサイズにされます。中には音楽に合わせてパフォーマンスをしながら料理を切り分ける者もいました。
野鳥や鹿などのジビエ、ソーセージやベーコン、エビや魚などの魚介類などが供される事もありました。
豪華な宴会になれば招待主は来客達を驚かせるために趣向を凝らします。孔雀やフラミンゴ、ウツボなどがその姿がわかるように皿に盛られました。
また、料理はすべて食べきる前に下げらるのが普通でした。食べきれない量の料理を用意してもてなしたためと、影たちが食べられるようにするためです。
その後に残ったものは召使いや奴隷達が食べます。
また、饗宴の料理はマッパエやマンテレと呼ばれるナプキンに包んで持って帰る事ができました。持って帰った料理は後で食べたり、家族に分け与えたりすることができます。また、街角で売ってお金に変えることもできたようです。
中にはマッパエに料理をたくさん詰め込む、みっともない客もいたのだとか。
食事の間には音楽や詩の朗読、寸劇などが行われ、参加者を楽しませました。
さて、メインディッシュ数品が終わると一旦すべての料理が片付けられ、仕切り直しです。ここで神々に捧げる儀式を挟むこともあります。
様々なデザートが運ばれてきたら、お酒とおしゃべりを楽しむ時間が始まります。デザートには新鮮でよく熟した季節の果物は欠かせません。
干しぶどうやナツメヤシなどのドライフルーツなども定番です。ケーキやシャーベットが出てくる事もありました。
デザートといえば甘いもの、と思ってしまいますが、ここでまた肉料理が出てくる事もありました。他にもオリーブや球根、チーズなどが出された事から、お酒を楽しむためのおつまみのような役割もあったのでしょう。
さて、ここまで3部構成の饗宴について解説してきましたが、もっと盛大な饗宴は7部構成になっていました。
食前酒、前菜、最初の主菜、二番目の主菜、
ここで仕切り直してワインとデザートです。
その次にはコミッサーティオという軽食付きの酒宴が待っています。
夕暮れ時から始まった饗宴は真夜中をとうに過ぎ、明け方近くに夜食を食べたらようやくお開きです。
こんなに饗宴、皆さんは出席してみたいですか?私はちょっとしんどそうなので遠慮しておきたいですね…。