古代ローマの街中に住む庶民達は普段どのように食事を用意していたのでしょうか。
実はローマの街中に住んでいる庶民は自宅で本格的な料理をする事はあまりありませんでした。
と、いうのも広い邸宅に住む金持ちとは違い、庶民の住居はインスラと呼ばれる狭い集合住宅でした。ローマの街中には溢れる人口に対して十分な土地はなく、建物は上へと積み重なるように高層化していきました。インスラも4、5階建てのものが多かったようです。
コロッセウムや水道橋など優れた建築技術を誇った古代ローマですが、インスラなどは粗悪な造りのものも多く、上の階は崩れたりする事もありました。また、火事が起こると上の階の住人ほど逃げ遅れる確率も高くなったといいます。
それぞれの部屋には水道が通っていないので水は水汲み場から汲んで来なくてはなりません。
そのため、上の階になるほど家賃は安かったといいます。
それぞれの部屋には専用のキッチンもないので、食事の用意をしようと思っても、火鉢か七輪のようなものでお湯を沸かしたり、料理やワインを温める事ができる程度でした。
大抵はパンやワインと買ってきたおかずを家で食べるか、外食でした。
ローマの街中には気軽に食事をとる事のできる飲食店が軒を連ねており、焼いた魚や肉などのおかずを買える屋台なども数多く営業していたといわれています。
もちろん、これはローマのような大都市に限った事で、農村部にいけばかまどのある家でそれぞれ料理をしたでしょう。
また、ローマ帝国の属州ではそれぞれの気候や文化があり、食生活も様々でした。
↓インスラの復元模型
↓インスラの内部