古代ローマの街には気軽に食事をとることができる飲食店がたくさんありました。
気軽に軽食をとる事のできる店、バール。ちょうど現在の居酒屋のようなタベルナ。これらの店の遺構は、現在ではギリシア語由来のテルモポリウムと言う言葉で呼ばれる事もあります。
石造りのカウンターにあいている穴には、甕や大鍋をはめ込んで使います。
こうすることで保温性を高め、暖かい料理は温かいまま、冷たい料理は冷たいまま提供できました。
電気もガスも無い時代なのに、本当に洗練されています。
ポンペイのこの遺構では容器から豚肉や魚、カタツムリや牛肉などの成分が検出されました。なかなか栄養満点で美味しそうですね。
カウンターの絵は、メニューの内容を示すと考えられています。鶏やアヒルの料理もあったのかもしれませんね。
宿屋兼食堂のような店はポピーナといいます。ちなみにポピーナでは食事やお酒の提供の他に賭博や売春が行われることもありました。
少し品位は下がるとされたものの、たっぷり食べる事ができるレストランのような店はグルグスティウムと呼ばれました。
さらに下品とされた、ガーネアという暴飲暴食するための店というのもありました。
ローマ人といえば、寝そべって食べる食事風景を思い浮かべる人が多いカモしれません。しかし実は、古代ローマの人々も普段は椅子とテーブルを使い、座って食事をしていました。寝そべって食べるのは正式な饗宴の席のみです。
ローマの飲食店も、大抵はテーブル席がメインです。ちょっと改まった雰囲気の店なら横になって食事をするスペースを持つ店もありました。
上品な市民や貴族達が食事をする場所はトリクリニウムやケーナーティオーと呼ばれ、食事の為の寝台が準備されており、美しい庭園や池が作られていました。
日本の飲食店に例えるとホテルの宴会場かお座敷のある高級料亭のような感じでしょうか。