にゃこめしの食材博物記

YouTubeチャンネル「古代ローマ食堂へようこそ」の中の人のブログ。古代ローマの食文化についての記事を中心に、様々な歴史や食文化について調べて書いているブログです。

ブロッコリーを生で食べない理由を論破してみる


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ブロッコリーを生で食べると健康効果が高くなるという事が科学的に証明されている』という情報を耳にする事が多くなりました。

 

メンタリストDaiGoさんや鈴木祐さんが発信されている情報を私も耳にします。

 

私はブロッコリーは生でも茹でても美味しいと思うのですが、ブロッコリーを生で食べる事に抵抗感を覚える人は案外多いようです。

 

何となく抵抗がある、以外に色々な問題点を挙げる人も多いですね。

その方達の意見はどの程度正しいのでしょうか。

 

 

前提

まず、ブロッコリーを正しい洗い方でよく洗ってから食べるという事を前提としたいと思います。洗っていないブロッコリーは私も食べたくありません(笑)

 

多くの人が生のブロッコリーに抵抗感を持つのは、あの洗いにくい独特の形状が原因の一つかと思われます。

確かに、サッと流す程度では汚れが落ちない部分が多くなってしまっています。

以下が望ましい洗い方です。

 

大きめのボウルにたっぷりと水を張り、ブロッコリーのふさを下にして30分程浸け置きしておきます。虫出しはこれで大丈夫です。

(気になる人は流水で30分にすると更に安心)

30分たったら、何度か水を換えてすすぎます。もし目立つ汚れがあればキレイに擦り落として下さい。

 

こうして洗ったブロッコリーを清潔な調理器具で調理するのが大前提です。

 

ネット上でよくみる意見その1・虫が付いている

ブロッコリーアブラナ科の植物です。アブラナ科の植物を食べる害虫は大変に多いです。当然、出荷されたブロッコリーにも稀にですが虫がついていることがあります。具体的には、

 

アブラムシ、モンシロチョウの幼虫(アオムシ)、ヨトウガの幼虫(ヨトウムシ)

メイガやコナガ(蛾)の幼虫などです。

 

これに関しては、洗って下さい。ただそれだけです。

あやまって食べてしまっても人体に害はありません。しかし精神的ショックは大きいかもしれませんね(笑)。私も食べたくありません。よく洗いましょう。

 

ちなみに、アブラナ科の野菜は沢山あります。キャベツ、白菜、水菜、大根、カブ、小松菜、ルッコラ、などなど。

これらにもほぼ同じ害虫が付きます。

キク科のレタスにもなぜか同じような害虫が付きます。

 

ネット上でよく見る意見その2・農薬

アブラナ科の野菜は害虫に人気が高いです。

収穫量を安定させる為には当然、農薬も使われます。

 

しかし、農薬というのは基本的に人体に影響がないとされる量を、科学的に調査した上で使われるものです。

いたずらに 農薬=悪、怖い

と考えるのは間違っています。

 

尚、野菜は一般的に

葉物野菜>花物・茎物野菜>実野菜

の順に農薬の残留度が高くなるといわれています。ブロッコリーは花物野菜なので、残留度は中程度です。

あまり心配しすぎる必要はありません。

 

それでも気になるんだっ!という人は、無農薬栽培や減農薬栽培の野菜を選べば良いのではないでしょうか。

 

ネット上でよく見る意見その3・寄生虫

ブロッコリー寄生虫だらけという記事も目にします。つぼみの中に潜んでいるという意見も。しかし、それらの主張をしている人達が寄生虫のことをどれくらいご存知なのかは謎です。

 

まず、植物の根に寄生するネコブセンチュウなどの寄生虫は人体に寄生しません。人体に寄生するセンチュウ類は別の種類です。また、ブロッコリーはつぼみを食べる作物なのでそこに根に寄生する植物寄生性センチュウ類が寄生している事も考えにくいです。

 

心配すべきなのは人体に害をなす寄生虫を持った生き物ごとブロッコリーを食べてしまう場合と、人体に害をなす寄生虫の含まれた糞便に汚染されたブロッコリーを食べてしまった場合です。

 

まずは前者、人体に害をなす寄生虫を持った生き物ごと生野菜を食べてしまうケースです。具体的にはナメクジ、カタツムリ、カエル等を加熱せずに食べてしまうと広東住血線虫などの寄生虫を体内に入れてしまうリスクがあります。よく洗いましょう。

 

次に寄生虫の含まれた糞便で汚染された野菜を食べた事で体内に侵入してしまう寄生虫です。回虫やサナダムシ(条虫類)、などがよく知られています。

昔は下肥を肥料にしていたから生野菜を食べなかったんだ、なんて話を聞いた事があるかもしれません。

現在日本ではは下水道も整備され、下肥を肥料にする事もありませんので生野菜を食べるリスクは高くありません。水道水でよく洗いましょう。

 

お気づきでしょうか。

ブロッコリーだけではなく、生野菜全般におけるリスクの話になってきました。

 

ネット上でよく見る意見その4・土、土壌中の細菌

野菜は畑で育てます。畑には土があります。だから野菜には土がつくことがあります。

この当たり前のことが理解できない人も多いようです。

 

確かに土壌中には食中毒の原因となる菌が常に潜んでいます。

例を挙げると、セレウス菌ウェルシュ菌など。これらは土壌中、チリやホコリを含んだ空気中などに広く分布しています。

 

ただし、これらの菌が体内に入ると即、食中毒を起こすわけではありません。ここで考えなくてはならないのは「発症菌数」です。

 

食品を不適切な温度で長時間放置していると菌が増殖し、食中毒の発症菌数に達してしまいます。

調理した食品は速やかに冷蔵または温蔵保存し(8℃以下または55℃以上)、なるべく早く食べきりましょう。

 

また、大腸菌は菌数が少なくても発症しますが、生野菜や土壌から大腸菌が検出される事は本当にごく稀です。

水道水でしっかり洗浄すれば問題ありません。

 

だんだん教科書みたいになってきてしまいました。

お気づきでしょうか。

ブロッコリーだけではなく、食品全体のリスク管理の話になってしまっています。

 

ネット上でよく見る意見その5・ウイルス

ブロッコリーに付くアブラムシはキュウリモザイクウイルスやカブモザイクウイルスなどを媒介しますが、これらのウイルスは植物のみが感染するものであって、人間や動物は感染しません。

 

新型コロナウイルスに関しては、今の所食品を媒介として感染した例は報告されていません。

 

もはや、ブロッコリー、関係なくない!?

 

 

ネット上でよく見る意見その6・青臭い

好みは分かれるかもしれませんが、それは仕方ありません。それがブロッコリーという食材の持ち味なのですから。

私は香りの強い野菜が好きなので、青臭さはむしろ美味しく感じるポイントです。

どんな味がするのかというとケールのような味です。(青汁用ではなく、サラダ用の柔らかいケールです)

もしくは、キャベツをもう少し青臭くした感じ、

小松菜やほうれん草をサラダで食べた感じに近いかな。

 

もしも生のブロッコリーは「青臭くって、食べられない」と主張する人がいれば、

「それってあなたの感想ですよね〜!?」とひろゆきさん風に論破しましょう(笑)

 

まとめ

生のブロッコリーに抵抗感を持つ必要はありません。他の野菜同様、しっかり洗って、正しく調理・保存していただきましょう。

美味しく食べて、ブロッコリーの健康効果を手に入れましょう!

 

↓生ブロッコリーのサラダ
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↓茎も細かく刻めば生で食べられますが、今回は炒めものにしました。f:id:nyakomeshi:20210510102347j:image

 

 

参考文献/HP

新訂 食品衛生責任者ハンドブック 第3版
著者名:日本食品衛生協会

出版社:日本食品衛生協会

 

 

農林水産省 農薬の基礎知識 詳細

https://www.maff.go.jp/j/nouyaku/n_tisiki/tisiki.html

 

大幸薬品 健康情報局

https://www.seirogan.co.jp/fun/infection-control/virus/parasite.html

 

厚生労働省 新型コロナウイルス感染症について

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html