蔓菜(ツルナ)の食べ方とキャプテン・クックの話

ツルナとはどんな野菜?

蔓菜(ツルナ)は海辺の砂浜や岩壁に自生しているハマミズナ科多年草です。日本以外にも、アジア、オセアニア、南米の太平洋側に広く分布しています。この若い芽を摘み取って野菜(山菜)として利用します。

地域によってはイソガキという名前で呼ばれることもあります。私の買ったツルナのパッケージには弦葉(ツルハ)とありました。他にも沖縄でははま菜と呼ばれるようです!

他のよく知られたハマミズナ科の野菜にはアイスプラントがあります。

アイスプラントの仲間だけあって、葉は分厚く、ザラザラしています。水分を含んだ毛が葉の裏側に密集しているので、白く見えます。
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ツルナは生では食べられないのか?

ツルナにはシュウ酸が多く含まれているので、加熱調理が基本です。しかし、料理人のはしくれとしては生のお味も気になります。シュウ酸は食べ過ぎなければ大丈夫です。

一口だけ生で味見をしてみたいと思います。

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アイスプラントの仲間だけあって、プチプチ、ザクザクした心地よい歯ざわりです。

ほうれん草のような程よいエグみ、ケールのような青臭さとともにリンゴのような芳香も感じられます。セロリやケールのようなクセの強い野菜が好きな人なら、食べられるかも、といった味です。

だがしかし!

舌がカスカスになってきました。

更に、喉がイガイガしてきました。

思った以上にアクの強い野菜のようです。

生で食べる事はオススメできません!

 

ツルナのオススメ料理方法

では、ツルナはどうやって食べれば良いのでしょうか?

実は、ほうれん草と同じ使い方ができます。

サッとゆがいて、お浸しや胡麻和えに。
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アクはすっかり抜けて、美味しくいただけます。サッとゆがく程度ならプチプチ、ザクザクした歯ざわりも健在。

油で炒めても美味しいです。f:id:nyakomeshi:20210702024140j:image

 

かきたま汁やお味噌汁にも使えます。
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 ツルナとキャプテン・クックの話

ツルナは英語名でニュージーランド・スピナッチ(NewZealand spinach)と呼ばれます。これはニュージーランドのホウレンソウという意味です。

キャプテン・クックニュージーランドで発見し、ヨーロッパに持ち帰ったと言われています。

キャプテン・クック(Captain Cook)は18世紀イギリス海軍の艦長であり、冒険家です。本名はジェームズ・クック(James Cook)といいます。生涯で3回、世界一周の大航海をおこないました(3回目の航海の途中で死亡)。

ツルナを持ち帰ったのは一度目の世界一周大航海の時です。その後同行した植物学者がヨーロッパに広めました。

以下は英語版ウィキペディアからの引用です。

The species, rarely used by indigenous people as a leaf vegetable, was first mentioned by Captain Cook. It was immediately picked, cooked, and pickled to help fight scurvy, and taken with the crew of the Endeavour.

この植物が野菜として先住民に利用される事は滅多にありませんでしたが、キャプテン・クックによって最初に(食料として)言及されています。

これらはただちに摘み取られ、調理されて漬物にされ、壊血病と戦うための食料として乗組員と一緒にエンデバー号で運ばれました。

キャプテン・クック壊血病の対策としていろいろな食品を試していました。ザワークラウトや麦汁、柑橘類など。

ツルナもその中の一つといえるでしょう。新鮮な野菜を補給する事は壊血病の予防に効果的です。

その甲斐あってか、一度目の航海では壊血病での死者を出さずに航海を成し遂げたと言われています。

これは当時としては非常に素晴らしい功績でした。

(ちなみに、クックは2回目の航海以降なぜか麦汁が効くと盲信し、壊血病を出しまくりました。壊血病の原因がビタミンCの不足によるものだと判明したのはそのずっと後の時代の1932年の事。)

 

ツルナは本当に壊血病の対策として有効だったのか考察してみる

壊血病は数ヶ月にわたり、長期的にビタミンCが不足することで起こる疾患です。最初は脱力感やだるさから始まり、歯茎や粘膜からの出血などの症状が起こり始めます。酷くなると歯は抜け落ち、古傷が開くなどの症状に発展し、死に至ります。

成人男性一人が一日に摂取する事が推奨されているビタミンCの量は100mgとされています。ただし、最低限6〜12mgのビタミンCを摂取出来れば、ギリギリ壊血病による死は免れるそうです。

 

ツルナの可食部100gあたりのビタミンC含有量は22mgとされています。野菜の中では特別多い方ではなく、かといって少ないほうというわけでもありません。

しかし。

先程ツルナは生で食べるには少々アクが強すぎると書いたばかりです。

ビタミンCは水溶性なので、茹でてしまうとほとんどが失われてしまいます。スープに入れて茹で汁ごと食べていたのならビタミンCは摂取出来ますが…

保存の為には塩漬けにしたか、酢漬けにしたのか?乾燥させるとビタミンCはなくなってしまいます。

 

キャプテン・クック御一行様がどのように調理して食べたのか…今となってはわかりません。ツルナだけで壊血病を予防するのは少々無理がありそうです。

しかし当時、ニュージーランド付近は探検されておらず、地図もありませんでした(クックがこの一度目の大航海の際に作成)。次の目的地にたどり着くまで何日かかるのか、そこに食料があるのかもわからない時代。

未知の土地で発見した食べ物がどれ程までにありがたいものだったかは想像にかたくありません。航海の途中の栄養補給としては、とても貴重な機会の一つだったのだと思います。

ツルナが、世界一周、大航海の一助になった可能性は大いにあり得ることですね。

 

↓私はまだ読んでいません、読みたい

↓種、売っているんですね。

 

参考HP

旬の食材百科

https://foodslink.jp/syokuzaihyakka/index.htm

 

英語版ウィキペディア

tetragonia tetragonoides(ツルナの学名)

https://en.m.wikipedia.org/wiki/Tetragonia_tetragonoides

 

日本語版ウィキペディア

ジェームズ・クック

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%82%BA%E3%83%BB%E3%82%AF%E3%83%83%E3%82%AF

 

一般社団法人 日本血栓止血学会HP

https://www.jsth.org/wordpress/