古代ローマの美食家、アピキウス(アピシウス)の記したとされる『料理帖』。
そのレシピの中で、頻繁に使われるハーブがあります。
それは「ラヴィッジ」です。
魚、野菜、卵、肉・・・どんな食材のレシピにもラヴィッジが登場します。
これでは、全部同じ味になってしまうのではないか、と思われるかもしれません。
しかし、現代の料理でも同じように「いつも出てくる食材」というのはあるものです。
たとえば和食なら、酒・みりん・砂糖・醤油がいつも出てきます。しかし、出来上がった料理はそれぞれ違うものとして食べています。すき焼きと肉じゃがは違うし、菜っ葉の炊いたんや筑前煮はそれぞれ別のものです。
洋風のレシピならいつも「塩・コショウ少々」などと書かれています。
外食すれば何にでもレモンが添えてあったり、パセリが添えてあったり、ネギがのっていたり。
おそらく、このような感覚で古代ローマ人はラヴィッジを使っていたのだと思います。
さて、このラヴィッジがどんな植物であったかというと、
セリ目、セリ科の多年草植物です。草丈は大きく育つと1.8m~2.5mにまで成長し、根元から何本も丈夫な茎をのばして葉をつけます。
標準和名は「ラベージ」。ほかにも「ラビッジ」「ロベージ」などと表記されることが多いようです。外国語の発音を無理やりカタカナで書くといろいろなバリエーションができてしまいますよね。
英語では「ラベージLovage」のほかに「ラブ・パセリLove parsley」という素敵な名前があります。イタリア語では「山のセロリ」と呼ばれているようです。
同じセリ科であるセロリやパセリによく似た風味のハーブだったのでしょう。
消毒や鎮咳作用など、薬用植物としての役割もあり、古くはヨーロッパ全土で栽培されてきたのですが、現在ではかなり限定された地域でのみ使われているようです。
もちろん、日本での知名度はありません。百貨店で探しても購入は難しそうです。
参考文献にしている『古代ローマの饗宴』という書籍のなかでも筆者は、
現在でもラヴィッジは薬草商に行けば多少困難でも見つけることができる(中略)
もっともラヴィッジの乾燥葉はもっぱら藁の香りがするだけだが…(中略)新鮮なラヴィッジは今ではもう手に入らない
と記したうえで、パセリとセロリの葉を刻み合わせて使うことを提案している。
しかし、謎に満ちたハーブであるラヴィッジは本当にもう、手に入らないのでしょうか。
手に入れました!!
海外のハーブの種を輸入しているお店から、ラベージの種を買うことができました。
珍しいアイテムを手に入れられる、私ってAmazonって、本当にすごいですね。現代社会の情報と流通に感謝です。
種はこんな形状です。クミンやキャラウェイに似ています。
種のままでも大変良い香りがしました。セロリのような芳香です。胸がすっとして、食欲がそそられます。
早速植えてみました。
同じくアピキウスのレシピに頻繁に登場するハーブ、セイヴォリーも一緒に取り寄せて植えています。これで、古代ローマの食事より正確に再現できます。
成長が楽しみでなりません。
しかし、狭いベランダで2m以上に成長したらどうしよう・・・
↓アピキウスについて詳しく書いています
↓古代ローマ料理を実際に作ってみた際の記事です。レシピの材料にラヴィッジが登場します。
参考文献/HP
古代ローマの饗宴
エウジェニア・サルツァ・プリーナ・リコッティ著 武谷なおみ訳 平凡社