古代ローマの美食家、アピキウス。
その謎に満ちたレシピ集、『料理帳』。
今回もその中から比較的材料が手に入りやすいレシピを選んで古代ローマの食事を再現してみます。
最初に白状しておきますが、今回は事前の資料の調べ方が不足していて、ちょっと違うものになってしまいました。
参考文献のレシピ
今回、参考にした本は『おいしい古代ローマ物語 アピキウスの料理帳』という本です。
この本のレシピは材料の代用品や調理の手順など具体的に書いてあるので、とにかく古代ローマ料理っぽいものを作ってみたいという人にはおすすめです。
しかし、アレンジされたレシピになっているので、アピキウスのレシピそのままという訳ではありません。
あと、レシピ通りではうまくいかない部分が多々ありますので、適当に調節しながら作りました。このあたりの感覚は料理に慣れていないとわからないところですね…
とりあえず、本に載っていたままのレシピを引用しておきます。
豆のスープ ミネストローネ風(173)
材料と分量(4人分)
- 大麦 200g
- 豆類 全部で200g
- 水 1000ccくらい
- 塩 小さじ2
- オリーブオイル 50cc
- ネギ、フェンネル、クレソン、あればマロウなどの野菜 各少々
- ディルとコリアンダー 少々
- キャベツの芯 適宜
作り方
作ってみる
まず、レシピに書かれていませんが、乾燥豆を使う場合は必ず前日から豆を水に浸けておく必要があります。今回はヒヨコ豆とインゲン豆を用意しました。
ヒヨコ豆とインゲン豆は下ゆでが必要です。それぞれゆで時間も違うので、別々に下ゆでしなければいけません…。
そして、ゆでてしまってから気づいたのですが、インゲン豆はアメリカ大陸の原産でした。古代ローマに存在するワケないですよね。
それに、どう考えても豆の量が多かった!
大麦は麦ごはん用の押し麦を使ったので水に浸けておく工程は省きました。こちらも、レシピでは200gとありましたが、どう考えても多すぎます! 結局、80gにしておきましたが、水1000ccでは足りず、あと500ccほど足しています。
塩は、小さじ1で十分でした。水は足しているのに。この辺りは好みもあるかと思いますが。
野菜が入るスペースが無くなって来ましたが、無理矢理入れます。フェンネルをちゃんと用意しました。
今回、ディルは粉末。刻んだコリアンダーとキャベツの芯を載せて出来上がりです。
試食とお味レポート
気になるお味は…予想以上に美味しい!
このスープにはコンソメや鶏ガラスープなどの出汁になるものが一切入っていません。味付けは塩のみなので、正直、期待していませんでした。ですが、ネギやフェンネルが出汁に似た役割を果たし、味のベースとなってくれていました。
刻んだコリアンダーやディルはシャキッと鼻に抜けるような、華やかな香りを演出します。
大麦から出るとろみが全体を一つにまとめる役割をしています。
アピキウスのレシピ、原点とは少々違うものになりましたが、古代ローマの風味程度は味わえたかな、と思います。
反省と次回の課題
今回の最大の失敗は、インゲン豆を使ってしまった事だと思っています。インゲン豆はアメリカ大陸原産です。古代ローマにあるはずのない食材です。
それにしても、アレンジされていないレシピではどうなっていたのでしょう。気になったので調べてみることにしました。
今回参考にした本『おいしい古代ローマ物語 アピキウスの料理帳』のアピキウスのレシピは、アメリカの研究者JOSEPH DOMMERS VEHLINGさんの『COOKERY AND DINING IN IMPERIAL ROME』という英語の本を元にしている、と記されていました。
そこで、英語ですが『COOKERY AND DINING IN IMPERIAL ROME』の方に書かれた元のレシピを調べてみることにしました。
インゲン豆は使われておらず、“pea”たぶんエンドウ豆?となっていました。
そして、一番大きな違いは、豆類が“crush”されている、おそらく挽き割りになっている言葉です。
全体は野菜とハーブの入ったお粥のような仕上がりになるようです。
次回は、こちらのレシピに従って作ってみたいと思います。
もっと古代ローマを身近に感じたい!
参考文献
おいしい古代ローマ物語アピキウスの料理帳
上田和子著 原書房
COOKERY AND DINING IN IMPERIAL ROME
Apicius著 Joseph Dommers Vehling編