にゃこめしの食材博物記

YouTubeチャンネル「古代ローマ食堂へようこそ」の中の人のブログ。古代ローマの食文化についての記事を中心に、様々な歴史や食文化について調べて書いているブログです。

ルイ16世のコロッケを作ってみた話

どうも、にゃこめしです。

ルイ16世のコロッケ』というレシピを海外のサイトで発見したので、作ってみる事にしました。

ベルサイユ宮殿でこの料理が食べられていた…かは分かりませんが、ルイ16世とジャガイモは切っても切れない関係にあります。この時代にはすでにコロッケ(クロケット)という料理も存在はしていたので、もしかしたら…。ルイ16世パルマンティエの開いたジャガイモづくしの晩餐会にはこんな一品が出されたかもしれません。マリー・アントワネット様も食べていたかも?

ルイ16世とジャガイモについての話はこちらから↓


ルイ16世とジャガイモの話 - にゃこめしの食材博物記

尚、調味料等、分量が「少々」となっている部分はお好みで調節していただければと思います。目安として小さじ1/2程度の量を想定しております。

 

材料(4人前)

  • ジャガイモ900g(中5個程度)
  • バター20g
  • 粉チーズ(できればパルメザン)100g
  • 卵黄1個
  • 白コショウ(粉)少々
  • ナツメグ 少々
  • 塩 小さじ1/2
  • 小麦粉 適量(衣)
  • パン粉 適量(衣)
  • 卵 1個(衣)
  • パセリ お好みで
  1. ジャガイモの皮を剥き4つに切り、水にさらします。鍋にたっぷりの水を張り、ジャガイモと塩(分量外)を入れて火にかけます。
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  2. ジャガイモに火が通ったらざるに上げて水けを切ります。別の鍋にジャガイモとバターを入れて、ごく弱火で加熱しながらつぶして混ぜます。
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  3. ジャガイモが潰れたら火を止め、熱いうちに粉チーズ、卵黄1個、白コショウ、ナツメグ、塩小さじ1/2を入れ、滑らかになるまでよく混ぜます。
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  4. 粗熱が取れたらいくつかに分けて丸め、形を整えます。
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  5. 小麦粉、卵、パン粉の順に衣をつけます。
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  6. フライパンに1cm程の深さに油を張り、温めます。コロッケを入れ、黄金色になるまで転がしながら揚げ焼きにします。
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  7. お皿に盛り付け、お好みでパセリを散らして下さい。
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フランスではコロッケ(クロケット)の形は俵型に仕上げる事が多いようです。参考HPではまん丸のボール型に仕上げていました。もちろん、日本でお馴染みの小判型に仕上げても構いません。お好みの形に仕上げて下さい。

気になるお味はというと……

サクッと、もっちり、ねっとり、とろ〜り!

 

思った以上にリッチなお味でした。たっぷり入れたパルメザンチーズが効いてます。卵黄とバターのコクが口中に広がります。ジャガイモの風味も存分に味わえます。

甘しょっぱくてお肉の入った日本のコロッケとは全然別のお料理といった雰囲気です。

ご飯はもちろん、ビールやワインのお供に相性バツグンです!

本日は、キリッと冷やしたスパークリングの白ワインと一緒にいただきました!

 

参考HP

Nobility and Analogous Traditional Elites
In the Allocutions of pius Ⅻより
https://nobility.org/2012/10/recipe-louis-xvi-marie-antoinette-potato/

 

Finding Loversより
https://www.finedininglovers.com/recipes/side/potato-croquettes

 

 

黒いナイルティラピアと上皇様の話

どうも、にゃこめしです。

前回のブログでは赤いナイルティラピアを食べた話をしました。

今日は黒いナイルティラピアについてです。

 

時代は1964年末、魚類学者でもある上皇様(当時は皇太子殿下)はタイ王国を訪れた際、農村の食糧難を救う手立てとして、ティラピアの養殖を進めました。

そして翌年、日本で養殖されたティラピア50匹がプミポン国王(当時)へ送られました。

その50匹のティラピアは繁殖させて一万匹にまで増やされ、各地の水産試験場へ送られました。

そして今では、タイ料理に欠かせない食材となっています。

 

タイでは明仁内親王(現・上皇様)にちなんで、ティラピアはプラーニンという名前で呼ばれています。

 

ティラピアを食べてみて思ったのは、あのコクのある味は、タイ料理の甘辛いソースやスパイスにぴったり合うだろうという事です。

いつか、タイへ旅行して、本場のプラーニン料理を食べてみたいものです。

 

参考HP

朝日新聞デジタルより

タイが愛する陛下の魚 半世紀で養殖拡大、今や国民食

https://www.asahi.com/amp/articles/

 

ジルティラピア(セント・ピーターズ・フィッシュ)とマトウダイの話はこちらから↓


マトウダイと聖ペテロの話 - にゃこめしの食材博物記

 

 

赤いナイルティラピアを食べた話

どうも、にゃこめしです。

ベトナム食材の店でティラピアを買いました。姿のまま、しっかりと真空、冷凍されています。

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ティラピアというのは、一種類の魚を指す言葉ではなく、主にカワスズメ科などの淡水性食用魚、数種類をまとめてこう呼びます。

 

世界中で養殖されている重要な食用魚で、特に東南アジアでの養殖が盛んです。

日本に導入されたのは主に三種類で、

です。

この中でもナイルティラピアは見栄えの良い赤い個体が養殖されています。検索すると生きている時の写真がたくさん見られますが、まるで金魚のような鮮やかさです。

今回購入したこの子も、おそらくナイルティラピアだと思われます。

解凍しました。

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ウロコと内蔵はキレイに処理されていました。

ティラピアは雑食性の魚です。動物性のエサも、植物性のエサも、何でも食べます。

雑食性や藻食性の魚は、時々内臓から独特の匂いを発する事があります。私が購入したこのティラピアも例にもれず、腹腔内から少し独特の風味が感じられました。

もちろん、鮮度が落ちた匂いではありませんので、大丈夫です。三枚におろして、腹骨を取り除けば綺麗な白身が残ります。

それに、雑食や藻食性の魚は、肉食性の魚とは脂の乗り方も身の質も違います。加熱してもホロホロでジューシーで、本当においしいものが多いです。

それでは、美しい白身をご覧下さい。f:id:nyakomeshi:20220206120434j:image

脂がのった白身は、西京漬けにしました。

コクのある身と西京味噌の組み合わせは抜群です。ホロホロ、ジューシーで、ご飯がいくらでも進みます。

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頭と腹骨の部分は酒蒸しにしました。臭みは微塵も感じられません。

プリプリとした弾力のある食感がたまりません。脂には鶏肉に似たコクがあります。


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隅々まで、大変美味しく頂きました。

今度またティラピアを購入したら、鶏肉にも似たコクのある白身を生かして、唐揚げにするのも美味しそうです。

 

 

 

 

 

ポップコーンの話

どうも、にゃこめしです。

最近、鍋で作るタイプのポップコーンを常備しています。
家で作ると塩分や油分が調節できるので、スナックが食べたいけどカロリーが気になるときに重宝しています。

 

ところで、ポップコーン用のコーンと普通のコーンの違って、何かご存じでしょうか。

答えは、品種の違いです。

ポップコーン用のトウモロコシは爆裂種といい、皮が固いのが特徴です。

固い皮のトウモロコシをさらに固く乾燥させてあるものに火を加えると、内部で暖められた水分が一気に膨らみます。その圧力に耐えられなくなった皮が弾けるように爆発することで、ポップコーンが出来上がるのです。

難しい工程も特別な道具もいりません。乾燥と過熱。このシンプルな2つの工程だけで出来上がります。

 

それ故、古代からアメリカ大陸ではポップコーンが食べられてきました。

世界で一番古いポップコーンは、アメリカ・ニューメキシコ州の「バット・ケイブ」と呼ばれている洞窟の奥で見つかりました。放射性炭素年代測定によると、このポップコーンは5600年前のものであるとされています。

(※この年代測定を疑問視する説もあります。一緒に発見されたトウモロコシの軸や木材を測定した結果は、1752年前であったり、2249年前であったりしたためです。)

 

他にも中南米、特にメキシコ、ペルー、グアテマラでは古代のポップコーンとその根拠となる遺物がたくさん発見されています。

 

古代のロマンを感じながら・・・今日も仕事終わりにポップコーンで一杯やろうと思います。

↓一本丸ごとのタイプを発見、購入しました。楽しみです。


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参考文献/参考HP

農林水産省HPより 消費者の部屋 こどもそうだんhttps://www.maff.go.jp/j/heya/kodomo_sodan/0208/02.html

 

The Spruce EatsよりThe history of popcorn
https://www.thespruceeats.com/the-history-of-popcorn-1328768

 

Wyandot Popcorn Museumよりpopcorn history
http://www.wyandotpopcornmus.com/History/Popcorn

 

古代ローマの美食家アピキウスの話

どうも、にゃこめしです。

私は古代ローマが好きで、素人ながらも趣味で歴史や食文化について調べたりしています。
古代ローマの食文化を調べる時に、絶対に名前が出てくる人物がいます。

それは、アピキウス。(アピシウスと表記する事も)。数々の逸話が残っている、古代ローマの美食家です。

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アピキウスは謎に満ちた人物で、残っている逸話のどれが本当にあったことなのかも今となっては分かりません。

アピキウスの名は紀元前80年頃から記録に現れます。紀元後1世紀、2世紀の記録にも登場し、4世紀頃書かれた『料理書』の作者であるとも言われています。

その為、何人かの美食家や料理人のエピソードがまるで一人の美食家アピキウスの物語のように混ざり合って、今日に伝えられているのではないか、と言われています。

そんなアピキウスについて書いてみたいと思います。

紀元前のアピキウス

紀元前一世紀のギリシャの哲学者、ポセイドニオスが残した著作の一部に、アピキウスと呼ばれる人物が登場します。

記録によれば紀元前80年頃、アピキウスは日夜派手で豪華な宴会を開き、美食家として名が知られるようになりました。

 

紀元一世紀ごろのアピキウス

私の調べ方に偏りがあるせいかもしれませんが、一番記録が多く残っているのはこの時代のアピキウスだと思われます。タキトゥスセネカ、大プリニウスによる記録が今日まで残されています。

名前はマルクス・ガウィウス・アピキウス(Marcus Gavius Apicius)。紀元後一世紀、アウグストゥス帝~ティベリウス帝の時代を生きた人物と言われています。

アピキウスは裕福な貴族で、金に糸目をつけない美食家でした。

古代ローマの政治家であり、優れた哲学者であったセネカはアピキウスについて次のように書きのこしています。

この人物は料理術の教師となりその教えで一世を風靡したのであった。

ところで、このアピキウスの末路については、知っておいて損はありません。この男は、調理場(で調理される宴会のごちそう)のために、一億セルテルティウスもの金をつぎ込みました。そして、毎回の宴会に、皇帝の恩賞金とか、カピトリウムの国庫に収められたばく大な税金に匹敵する金を、食い尽くしたのです。

その結果、彼は借金で首が回らなくなり、そのときはじめて、しかたなく自分の帳簿を調べてみました。計算すると、手元に残る額は一千万セルテルティウスでした。

すると彼は、一千万セルテルティウスで生活すれば最悪の飢餓に苦しみながら生きることになるといわんばかりに、毒を飲んで命を絶ったのです。

(中略)

この最後の飲み物は、これほど心がねじくれた人間にとっては、最も健康によいものでした。

セネカはアピキウスについてとても批判的な意見を持っていたようです。

質素を旨とし、自制心や忍耐力が大切だと説く、ストア派の哲学者であったセネカ。彼にとって、アピキウスの贅沢ぶりは正反対の価値観であり、許しがたいものだったのかもしれません。

セネカが書いたアピキウスのエピソードは他にもこのようなものがあります。


皇帝ティベリウスとヒメジの話 - にゃこめしの食材博物記

セネカより少し後の時代の歴史家タキトゥスも「年代記」の中で

金持ちの放蕩者アピキウス

とアピキウスの存在に言及しています。

 

また、博物学者の大プリニウスもアピキウスの存在に言及しています。

 

紀元二世紀ごろのアピキウス

紀元1世紀頃の記録に現れていたアピキウス。

ですがなんと、突如として2世紀頃の記録にも登場します。

ギリシャの詩人アテナイオスの記録によると、113年~115年頃、アピキウスは皇帝トラヤヌスに牡蠣を送ったと記されています。

勿論、ティベリウス帝の時代に毒を飲んだアピキウスとは別人です。

 

アピキウスの料理書

「アピキウスの料理書」は1世紀や2世紀のアピキウスが書いたものではありません。

  • 4世紀頃の世俗ラテン語で書かれている
  • 紀元2世紀より後の人物の名前をつけたメニューがある
  • それより以前はアピキウスの「料理書」について言及されていない

などの理由から4世紀末に編纂された物だと言われています。

印刷技術のない時代の話ですから、写本で伝えられてきました。ところが写本に写本を重ねると、間違いや写し漏れ、余計な付け加えや誤訳…。伝言ゲームの如く内容が変化していきます。

今日伝わっている「アピキウスの料理書」は原点とは随分違うものになっているようです。

しかし、依然として古代ローマの食生活を知る大きな手がかりになる事は間違いありません。

 

終わりに

古代のロマンを感じる「アピキウスの料理書」。日本語版の完訳は手に入れる事ができていませんが、一部が紹介されている本は私の手元にあります。

英語の本なら、電子書籍で安く読めるようです。私は英語があまり出来ないので、相当頑張らねばなりませんが…(笑)

 

私は金持ちの貴族ではないので、高い材料は手に入りませんが、できる範囲でいろいろ試作してみたいと思います。

古代ローマの饗宴の一部を垣間見る事が出来るかもしれません。

 

参考文献/参考HP

古代ローマの饗宴
エウジェニア・プリーナ・リコッティ著 武谷なおみ訳 平凡社

 

年代記
タキトゥス著 国原吉之助訳 岩波文庫

 

人生の短さについて 他2篇

セネカ著 中澤務訳 光文社古典新訳文庫

 

おいしい古代ローマ物語 アピキウスの料理帖
上田和子著 原書房

 

Wikipediaよりアピキウス(紀元前一世紀の人物)

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%94%E3%82%AD%E3%82%A6%E3%82%B9_(%E7%B4%80%E5%85%83%E5%89%8D1%E4%B8%96%E7%B4%80%E3%81%AE%E4%BA%BA%E7%89%A9)

 

 

皇帝ティベリウスとヒメジの話

どうも、にゃこめしです。

以前、『ルジェという魚の話』という記事にも書きましたが、古代ローマでヒメジ(ルジェ)という魚は大変好まれていた食材でした。お金持ちや貴族、美食家たちもこぞって手に入れたといいます。

今回もヒメジに関する面白い逸話を見つけました。

↓「ルジェという魚の話」はこちらから

 

紀元14年~26年頃の話と思われます。(ティベリウスが皇帝になってからカプリ島に引きこもるまでの間に起こった出来事と思われる逸話なので)

あるとき、皇帝ティベリウスに立派なヒメジが献上されました。なんと2.5㎏サイズだったと言われています。ヒメジにしてはかなりの特大サイズです。

ティベリウス帝のもとに、巨大なヒメジが贈り物として送られてきた。だが皇帝は市場に持って行って売りさばくよう命令し、次のように予言して言った。

「みなの者、このヒメジがアピキウスかオクタヴィウスのものにならなかったら、私は地獄に堕ちてもよいぞ!」

予想は見事に的中した。二人の男は競売で激しく競り合い、結局はオクタヴィウスが勝利して、友人たちからやんやの喝采を浴びた。皇帝の魚を五千セルテルティウスで買ったのと、付け値の額でアピキウスを負かしたことで、彼は大きな栄誉を獲得したのである。

セネカ『書簡集』95、42

当時は農業用奴隷一人の値段が1200〜2000セルテルティウスだったといわれています。

特大ヒメジ一匹は奴隷2.5〜4人分の値段がつけられた事になります。

古代ローマの美食がいかに熱狂的だったかわかるようなエピソードです。

↓アピキウスって誰だ?と思われた方はこちら


古代ローマの美食家アピキウスの話 - にゃこめしの食材博物記

参考文献/参考HP

古代ローマの饗宴

エウジェニア・サルツァ・プリーナ・リコッティ著 武谷なおみ訳 平凡社

 

年代記 上 タキトゥス著 国原吉之助訳 岩波書店

 

トンガの火山爆発と、日本の食卓に及ぼす影響を考えてみる

南太平洋のトンガ諸島にある海底火山「フンガ・トンガ」で1月15日1時ごろ、大規模な爆発が起こりました。恥ずかしながら私は最初、ニュースを見ても事の重大さがあまりピンと来ていませんでした。トンガの方々の事はもちろん気になるし、気の毒に思いましたが、情報が少なかったこともあり、なんとなく過ごしていました。

その夜、津波警報や注意報が日本の各地に出され、大変驚きました。沿岸部にお住まいの方や、避難された方、一晩中、眠れぬ夜を過ごされた方も多かった事と思います。無知な私にも事の重大さがジワジワとわかってきました。

そこで今日いろいろ調べて私なりに考えたことなどを、このブログのテーマである食材の事と関連付けて書いてみたいと思います。

なお、私は火山や気象や、世の中の動きなどは全くの専門外の素人です。むしろ常識的な知識が欠けているところも多い人間です。この記事に書いてある内容も「正しい知識」ではなく、「素人の考えた事」です。内容についてはご容赦下さい。正しい知識は、信頼性の高い情報を調べて判断くださいますようお願いいたします。

 

 

火山爆発指数について

地震の大きさを示す指標としてマグニチュードがあるように、火山の大きさを示す指標は火山爆発指数(VEI)というそうです。

火山爆発指数1は小規模、2は中規模、3はやや大規模、4は大規模、5~8は非常に大規模

・・・イメージしにくいですね。数字が1つ上がるごとに、噴火の規模は10倍になるそうです。1991年の雲仙普賢岳の噴火はVEI2、2014年の御岳山の噴火はVEI3だったそうです。江戸時代に富士山が大噴火したときはVEI5だったそうです。

西暦79年古代ローマの都市、ポンペイを一瞬で火山灰の下に埋もれさせたヴェスヴィオ火山の噴火もVEI5、そして、1991年のフィリピンのピナトゥボ火山の噴火はVEI6だったそうです。

そして、フンガ・トンガ火山の噴火はまだあまり信用できる情報がないものの、VEI5~6といわれています。

噴火の規模の大きさがうかがい知れます。

すぐに出そうな影響

太平洋側を中心に、日本各地で津波の警報・注意報が発令されました。まず予想されることは、漁師さん達がその晩(明朝)は漁に出られなかったことです。明日(1月17日)は近海物の魚介類がほとんど魚市場に入荷しないのではないかと思います。わずかに入荷した魚はきっと高値で取引されることでしょう。スーパーの鮮魚コーナーは冷凍物と養殖物が中心になるかもしれません。

とはいえ、普段から天候が悪い時はこのような状況になることも珍しくありません。

これは大した影響ではなさそうですね。

少し後に出そうな影響

南太平洋はキハダマグロメバチマグロの漁場です。もしかしたら一時、輸入がストップしてしまうかもしれません。

他に、オーストラリアやニュージーランド~日本間の航空便や船便なども影響があるかもしれません。

また、火山灰を含んだ雨は酸性雨になるそうです。日本に直接降ることはあまり考えれませんが、オーストラリアやニュージーランドや、南太平洋周辺諸国の農作物がダメージを受ける可能性も否定できません。

半年から一年ぐらい続くかもしれない影響

大規模な噴火により火山灰などが成層圏に大量に放出されると、太陽光が地表に届くのを遮ってしまいます。その結果、気温が寒冷化すると言われています。体感としてはわずかの気温の変化も、農作物に大きな被害をもたらします。

記憶に新しいのは1991年のピナトゥボ火山の噴火です。その時噴き上がった火山灰により、地球全体の気温が約0.5度下がりました。結果、記録的な冷夏となり、日本の稲作は大ダメージを受けました。輸入されたタイ米が食卓に上ったことを覚えている方も多いのではないでしょうか。(若い世代はわからないかな?)

既に、twitterに投稿された「平成の米騒動」を引き合いに出すような投稿が、猛烈にリツイートされまくっているようです。そのことをニュースも取り上げております。

気温の寒冷化が及ぼす影響はもちろん日本のお米だけではありません。

北半球はいま真冬ですが、南半球は今が夏です。

今、この時期に日照時間が短くなったり気温が下がったりすれば、オーストラリアやニュージーランド、場合によっては南米諸国の農業がダメージを受けるかもしれません。

(ちなみに1991年のピナトゥボ火山の噴火は6月7日、北半球はその年の夏が冷夏になりました。)

世界的に大きな影響がある作物は、小麦やトウモロコシなどでしょう。

穀物が不足し、価格が高沸する可能性もありそうです。

穀物を食べるのは人間だけではありません。家畜の飼料として南半球で生産される穀物の存在は大きいです。飼料が値上がりすれば、牛肉、豚肉、鶏肉、卵も値上がりが避けられません。

 

数か月後にはお肉や卵が値上がりして、家計を圧迫してしまうかもしれません。

しかし、日本の小売り産業や外食産業はインフレが起ころうと何が起ころうと全然値上げをしない傾向があるようにも思えます。その場合、小売り産業や外食産業は出血大サービス垂れ流し状態になってしまうのでは・・・結果、日本経済がジワジワと死んでいく・・・なんてのは、少々考えすぎでしょうか。

 

フンガ・トンガ火山の噴火による影響がどの程度でるのかはまだ、はっきりとした情報はわかりません。マスコミは正しい情報や専門家の見解は伝えてほしいですが、今後無駄に不安を煽るような報道になってしまいそうで心配です。

買占めや転売など、情報に踊らされた人々が混乱を引き起こさないか心配です。

 

参考文献/参考HP

候文明史 世界を変えた8万年の攻防
田家 康 日経ビジネス人文庫

気象庁HPより 有史以降の火山活動についてhttps://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/tokyo/history_kaisetsu.html

朝日新聞デジタルより
火山爆発指数5~6の規模か ピナトゥボが6、「破局噴火」は7以上https://www.asahi.com/sp/articles/ASQ1J6399Q1JULBJ004.html

朝日新聞デジタルより
トンガ噴火で気候変動に懸念 SNSで「令和の米騒動」不安視する声https://mainichi.jp/articles/20220116/k00/00m/040/108000c